最近のテレビドラマでは、盗んだバイクで逃走するシーンでも、犯人はきちんとヘルメットをかぶっているという。 番組の作り手側としては、視聴者から抗議が来るかもしれないし、スポンサーから何か言われるか...

最近のテレビドラマでは、盗んだバイクで逃走するシーンでも、犯人はきちんとヘルメットをかぶっているという。 番組の作り手側としては、視聴者から抗議が来るかもしれないし、スポンサーから何か言われるかもしれない。だったら、当たり障りがないようにしておくのが得策なのであろう。 ≪「就活」の安定志向が心配だ≫ 『テレビは余命7年』(大和書房)の中で、著者の「指南役」氏は、この手の配慮が増えたためにテレビはつまらなくなった、と指摘している。傾聴すべき発言ではないだろうか。 作り手がリスク回避を最優先していると、番組はありきたりなものになってしまう。テレビ局の社員としても、冒険ができないのでは、鍛えられる機会がなくなるし、そもそも仕事が面白くないだろう。 最近、われわれの身の回りでは、この手の「行き届いた」配慮が増えている。しかるに、「角を矯めて牛を殺す」の例え通り、自主規制は得てして自縄自縛への道である。世間を騒がすような事件や事故があるたびに、規制を強化せよとの大合唱が起きる。 かくして、身の回りの不自由は増えてゆくのであるが、日本全体が「つまらないテレビ番組」になっては大問題である。「決められない政治」や「日本経済の長期停滞」の一因は、極端なリスク回避の姿勢が蔓延(まんえん)していることにあるのではないだろうか。【正論】双日総合研究所副所長・吉崎達彦 極端なリスク回避は停滞への道+(1/4ページ) - MSN産経ニュース