そしてアメリカの世界支配も限界に来て金融化し、低下する金利を「金融工学」でごまかしているが、いずれ限界は来る。それに次いで登場した「21世紀システム」の中心はアジアであり、そのリーダーは日本だ・...

そしてアメリカの世界支配も限界に来て金融化し、低下する金利を「金融工学」でごまかしているが、いずれ限界は来る。それに次いで登場した「21世紀システム」の中心はアジアであり、そのリーダーは日本だ・・・というのが1994年に書かれた本書のビジョンである。さすがにこれはネグリ=ハートにも批判され、『北京のアダム・スミス』ではそのリーダーを中国に変更した。 しかしこの変更は、日本にとって重大だ。かつてごく自然に「日本の世紀」が来ると思われた歴史的なチャンスを、なぜわれわれは逃してしまったのだろうか。その一つの原因は、軍事力を奪われたため、アメリカ主導の「長い20世紀」圏を脱却する独自の地政学的秩序を構築できなかったことだろう。 もう一つの原因は、製造業がアジア戦略で失敗し、投資機会がアジアに奪われたことだろう。その証拠がジェノヴァ以来の世界史的な低金利だが、人々は国内に閉じこもって「反グローバリズム」を叫び、「日銀がエルピーダをつぶした」などと金融政策に責任を転嫁している。アベノミクスは、そういう視野の狭い「ガラパゴス政治」の典型だ。池田信夫 blog : 日本はなぜアジアのリーダーになれないのか - ライブドアブログ