津田さんはまず、文化庁管轄の私的録音録画小委員会で委員として議論に参加してきた経験を振り返り、違法ダウンロード導入の賛成者も刑事罰化は「バランスが悪い」と反対していたことを挙げ、「政治家の仕事は...

津田さんはまず、文化庁管轄の私的録音録画小委員会で委員として議論に参加してきた経験を振り返り、違法ダウンロード導入の賛成者も刑事罰化は「バランスが悪い」と反対していたことを挙げ、「政治家の仕事は多様な立場の人の意見をきき、利害を調整して大所高所から制作をやっていく、媒介としてのメディアのようなものだ。今回の場合、法曹関係者の多くがバランスが悪いと考えているのは厳粛に受け止めていただきたい」とした。  刑事罰導入の「筋の悪さ」から、音楽業界の要望を受けた自民・公明の議員立法による修正案で改正案に盛り込むという経緯も「一部の業界の意見だけを聞いている」と批判。「違法ダウンロードの被害は6800億円近いという調査結果があるが、CDのピーク時だった90年代後半の市場が6000億円だったのに、被害が6800億円というのはバーチャルに過ぎるのではないか」と、根拠などが偏っているのではないかと指摘。「偏った結果に大してチェックして慎重に議論してやっていくのが国会の役割。それがチェックなしで進んでいくのは非常に残念だ」とした。  「一番の問題は社会全体に影響が及ぶ著作権法をいじること」。刑事罰で効果がなければYouTubeなども対象に広がるなど、今後規制範囲が広がっていく恐れに加え、いずれ全ての著作物に拡大されることになれば「全ての著作物が違法か合法か分からない状況で違法化・刑事罰化が拡大された時、ユーザーの半分以上がよく知らないままに違法行為をしてしまうことにつながる」と懸念。「ネットは知る権利のために使われている重要なものであり、この問題は音楽業界の保護だけではなく、情報通信の秩序にかかわるものだ」とした。  コンテンツ業界の収益が拡大する方向を目指す点では同じだが、刑事罰導入で「CDが売れるようになるかというとならない。たぶん下がっていく」と効果を疑問視。「ユーザーは萎縮することで単純に買わなくなる」とみる。  対案として、国の文化予算の増額を挙げる。「文化庁の予算は1000億円だが、諸外国に比べても全然安い。韓国は日本の5倍の5000億円をかけ、国策としてコンテンツを輸出している」とコンテンツ関連に国が金をかけて伸ばしていくことを提案する。「刑事罰化で音楽市場が伸びないのは最悪だ。この問題は音楽業界だけの問題ではなく、社会全体に影響が及ぶ問題であり、5年、6年と時間をかけて慎重に行う議論であり、今回はやめていただいたほうがいい」と刑事罰導入を見送るよう求めた。「市場を公正なものに」「CDが売れるようにはならない」──著作権法改正案、参院で参考人質疑 (2/3) - ITmedia ニュース