横浜市交通局は、電車内の全ての座席を優先席に指定している横浜市営地下鉄に「ゆずりあいシート」を今月下旬から新たに設置する。 高齢者や体の不自由な乗客、妊娠中の女性などに利用してもらうための座席で...

横浜市交通局は、電車内の全ての座席を優先席に指定している横浜市営地下鉄に「ゆずりあいシート」を今月下旬から新たに設置する。  高齢者や体の不自由な乗客、妊娠中の女性などに利用してもらうための座席で、9月から全車両での実施を目指しているが、市民からは「全席優先席で根付いてきた譲り合いの精神に逆効果を与えるのではないか」との指摘も出ている。  ゆずりあいシートは1車両に最大14席設けられ、現在、各車両に1か所、オレンジ色のつり革で区別している「携帯電源オフエリア」にステッカーを貼って表示する。2003年12月からスタートし、国内唯一となっている全席優先席の制度も継続する。  ゆずりあいシートを新設するきっかけになったのは、市交通局が11年8月に行ったアンケート調査だった。高齢者約340人のうち、「席を譲られる」と回答したのは49%にとどまり、市交通局が「全席優先席がシステムとして機能しているとは言い難い」と判断。どうしても譲ってもらいたい乗客向けに「最優先席」の設置を検討していた。  ただ、「最優先席」が「優先席」と車両に混在することに対しては、利用客らから「優先席が普通席のようになってしまう」と心配する声も上がっている。同局担当者は「議論があるのは分かるが、新たな席を設けることで譲り合いの精神をさらに啓発できれば」と話している。全席優先席なのに「最優先席」を新設する地下鉄 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)