ちょうど1年前の5月6日、菅首相は記者会見して浜岡原発の「停止要請」を行なった。そのとき私は「この要請には法的根拠がない」と批判したが、メディアはこの「英断」を賞賛した。これは菅氏のスタンドプレ...

ちょうど1年前の5月6日、菅首相は記者会見して浜岡原発の「停止要請」を行なった。そのとき私は「この要請には法的根拠がない」と批判したが、メディアはこの「英断」を賞賛した。これは菅氏のスタンドプレーだと思われていたが、大鹿靖明氏によれば経産省の官僚が主導したものだという。経産省は、特に危険だといわれる浜岡だけを止めて、他の原発も止めろという動きの「ガス抜き」をはかったのだ。 結果的には、この「超法規的措置」は裏目に出た。いったんルールなしに停止させると、「定期検査後の再稼働も止めてくれ」という地元の声に抵抗することはむずかしい。そして際限なく裁量行政が続き、ついに今日すべての原発が止まった。朝日新聞は社説で、こう批判する。野田政権は「脱原発依存」を掲げながら、規制当局の見直しをはじめ、何ひとつ現実を変えられていない。再稼働についても、ストレステストをもとに形式的な手順さえ踏めば、最後は電力不足を理由に政治判断で納得を得られると踏んだ。これで不信がぬぐい去れるわけがない。福島事故で覚醒した世論と、事故前と同じ発想で乗り切ろうとする政治との溝は極めて大きい。ストレステストが形式的だというなら、何が実質的なのだろうか。大阪府市のいうように「使用済み核燃料の最終処理体制の確立」を再稼働の条件にしたら、永遠に再稼働はできないかもしれない。 池田信夫 blog : 「水戸黄門」の正義 - ライブドアブログ